八女福島仏壇は木地・彫刻・金具・金箔・漆・蒔絵などの多くの職人が関わり分業で製造されるので、仏壇は総合芸術だと言われています。
彫刻には、欄間(らんま)彫刻や宮殿(くうでん)と呼ばれる屋根の細工・彫刻もある。専門の技術を使い丁寧に作られる仏壇は、古くなっても修理され世代を超えて大事に使われ続けます。
今は金具の技術を使ったアクセサリーや、蒔絵の技術を使ったインテリア商品なども作られています。
八女提灯も仏壇と同じく分業制で製造されています。木台を作る人・ひごを巻く人・貼り師・絵師・塗り師などの専門技術でひとつの提灯が作られます。火袋と呼ばれる部分は、張り型(提灯の型)に沿ってひごをらせん状に巻き、和紙や絹などを貼り付け、乾かした後に絵付けされます。
盆提灯だけでなく、お祭り用や太宰府天満宮・櫛田神社また居酒屋からの注文もあり、数多くの提灯が作られオリジナルの提灯も作ることができます。
提灯バッグなど伝統技術を活かした新しい商品開発も進められています。
八女手すき和紙の歴史は、九州で最も古く、文禄4年(1595年)全国行脚の途中に立ち寄った日蓮宗の僧・日源上人が、越前国(今の福井県)に伝わる紙の技術を伝授したことが始まりと言われています。
繊維の長い地元産の楮(こうぞ)を主原料としているので、引きが良く腰のある、強靭で優美な和紙ができることが特徴です。
八女手すき和紙は、一閑張から、障子紙、凧やアクセサリーなど様々な用途に使え、特殊な加工をすればバッグにも。和紙を使ってオリジナルの作品づくりに挑戦しませんか。(八女伝統工芸館で手すき和紙体験ができます。)
八女石灯籠の起源は江戸初期といわれ、最も古いものは文久年間(1861~64)の作が残っています。市内で切り出される加工に適した阿蘇凝灰岩で、春日灯籠・雪見灯籠・自然木型灯籠・五重ノ塔灯籠などが作られています。石材加工場の集中する長野地区周辺では、石細工製品が立ち並ぶ八女ならではの光景を目にすることができます。
八女福島の白壁の町並みには、阿蘇凝灰岩で作られた恵比寿様やお地蔵様が至るところに祀られています。今も地域で大事にされている様々な表情をした恵比寿様たちを探し歩いてみませんか。
八女は良質の竹の産地で、それを使って丈夫で長持ちする竹細工を作ることで知られています。カゴやザルには様々な工夫が施され、縁を補強する「当て」と呼ばれるひごは八女の特徴的なものです。お茶摘みで使うテボ(カゴ)も作られ、生活のなかで息づいています。
昔から子どものおもちゃとして親しまれてきたこま。八女には菅原道真公が伝えたとも言われています。また「福が回る」「金回りがよくなる」ともいい、縁起物としても人気があり、新築祝いなどに飾りごまを求める人も多い。飾りごまはひずみが出ないように、荒削りしたあと半年間乾燥させてロクロ仕上げをします。
地元産の木材から生み出される伝統の手づくり桶。桶以外にも様々な注文に応じ、小さな製品から旅館で使う大きな風呂桶まで。カーブの部分は、木材を台形にカットしたものを組み合わせて作っていきます。木の性格を見極めて用途にあった道具が作られます。ここで作られた桶は、修理を繰り返しながら20~30年もの長い間、大切に使われます。工房には全国から送られてきた修理待ちの桶が並んでいます。
機械で織られる久留米絣は、濃紺だけではなく赤や黄・緑色などの様々な色合いのものがあります。博多山笠の法被も作られています。また、工房に訪れるお客さまの声から新しい柄も生み出されています。
八女と言えば八女茶。お茶に適した気候風土で、全国的に知られていますが、やっぱり地元で飲むお茶は格別です。八女福島の伝統的町並みには、江戸時代から続くお茶屋さんがあり、ギャラリーとして開放されているお店もあります。建物のなかには以前使われていた「茶の拝見場」(お茶の審査や商談などをしていた場所)があり、茶問屋独特の雰囲気を楽しむことができます。お茶屋さんに寄れば、お茶の淹れ方から詳しく教えてくれ、美味しい八女茶も試飲できます。
風土が豊かだから「食」の素材も豊富、醸造酢も見逃せない一品です。すべて手作りで、壺(つぼ)に入れて天日で発酵させるため大量には造れません。地元の米の他、巨峰・柚子・ブルーベリーなどを使った果実酢もあり、まろやかでコクコクと飲めて美味しい。醸造した果実酢は一年・二年または三年の貯蔵熟成により、まろやかな味となります。
酒を仕込む冬の寒造りの朝、釜場から立ち昇る水蒸気とともに蒸し上がる酒米。もろみに響く櫂(かい)入れの音。蔵人たちの技で、醸し出される清酒は今、蔵の中で熟成の時を刻んでいます。現在は農協と協力し作付した新しい品種の酒米「吟のさと」での酒造りにも力を入れています。蔵見学は事前の予約が必要です。
篠竹(しのたけ)を使って作られる八女矢は、矢飛びの良さと美しさで全国的にも有名です。
星野民芸・木屋民芸・杣の木工など、豊富な木材を活かして家具から器まで幅広く作られています。
独特の竹のしなりが人気の釣竿は、布袋竹(ほていちく)を使って作られます。
一本一本、手打ちで作られ、魔よけ・開運のお守りとしても喜ばれています。
自然の恵から様々な色を抽出し、 素材にもこだわり染められています。
八女のひな人形は「箱びな」が有名ですが、羽子板・破魔弓・五月人形など節句人形も作られています。
星野焼をはじめ多くの窯元が特色ある作品を焼いています。
水車の動力を活かして作られる杉粉を使ったお線香は、自然な香りが人気です。
ものづくりのまち八女の伝統工芸品が展示・紹介されており、伝統技術の素晴らしさを感じて頂けます。また、八女手すき和紙資料館、八女民俗資料館も併設。見て、触れて、体験して、八女の伝統を感じてください。
職人による実演見学や手すき和紙体験ができます。ハガキやうちわ、名刺などを作りながら楽しく和紙づくりの工程を学べます。様々な種類の和紙や、和紙による作品も販売しています。和紙を使った教室も企画しており、和紙に関することなら、まずここへ。
八女地方は伝統工芸と農業を主な産業として発展してきました。「職人と農業のまち」八女の歴史と民俗資料が展示されています。
八女の歴史は伝統工芸品とともに歩んできた歴史でもあります。
仏壇や提灯は江戸時代から、手すき和紙は400年以上前から、石灯籠の八女石工としての歴史は古墳時代の「石人・石馬」までさかのぼることもできます。
昔ながらの町並みのなかで、磨き上げられた職人の技が今も息づいています。
職人の工房を訪ねながら、町並みを散策したり、おいしい八女茶を飲んで休憩したり、ゆっくりと八女を味わってみませんか。