福岡県八女地方は、九州最大の河川である筑後川と矢部川の清流に挟まれた筑後平野南部に位置し、肥沃な土壌と豊富な伏流水に恵まれた土地です。雨量も多く、昼と夜の温度差もあり、ここ八女市はお茶を栽培する自然条件に恵まれた場所といえます。 特に山間地は朝・夕に霧が多く発生し、玉露など上質茶を生産する気象条件を満たしています。八女市には、お茶をつくる農家が約2200戸。平坦地ではおもに煎茶、山間地は煎茶と玉露をつくる農家があります。
八女では、茶の芽を少なくして、一つ一つの葉を大きくしっかりと育てる栽培法(芽重型の芽づくり)を行い、ほとんどが二番茶までしか摘みません。栽培面積(約1300ha)の割に生産量が少ないのは、量より質を重視したこの栽培法によるものです。 また、矢部川や星野川から立ち上る霧が山間部の斜面を覆い、日光を適度に遮ることで旨み成分のアミノ酸類の生成が促進されると言われています。その結果、味が濃厚で特有の甘みがあり、苦みや渋みが少ない日本有数の高級茶、八女茶が生まれます。
八女の玉露は、その旨み成分を高めるために、稲わらで約20日間被覆する伝統技法(伝統本玉露)を採用しています。現在では、玉露の被覆は化学繊維で織ったネットが多くなっていますが、昔ながらの伝統本玉露の生産量は、八女が日本一です。そして、八女の玉露は、全国茶品評会において11年連続で農林水産大臣賞(品評会で最高の賞、日本一)を獲得しています。八女は日本一の高級茶の産地なのです。
お茶に適した水を使い、お茶にあった温度で淹れることが大切です。水道水を使うときは、やかんの蓋をすこしずらして2~3分沸騰させます。この後、お茶の種類に応じた温度まで冷まして使用します。 ここでは煎茶の淹れ方を紹介します。
人数分の湯呑みを用意し、ポットの湯をそれぞれ8分目まで注ぐ。
湯冷まし(無ければ代用品)に湯呑みの湯を注ぐ(→70℃まで冷ます)
急須に、人数分×2gの茶葉を入れる(一人分だけ入れる場合は4g)
冷ましておいた湯を急須に注ぎ、1~2分待つ。
湯呑みに廻し注ぐ。濃淡がないように。最後の一滴まで注ぎ切る。
室町時代中頃(1423年)に、周瑞禅師が、かつて学んだ蘇州霊厳寺の風景に似ていたことからこの地を選び、建立した霊厳寺。禅師は明から持ち帰った茶の種をまき、製法を伝授。それが八女茶の始まりとされています。 ここは数多くの奇岩のそびえたつ霊地で、境内からは茶畑が広がる里山の風景を遥か彼方まで望めます。八十八夜には、周瑞禅師を偲ぶ献茶祭が執り行われます。
伝統本玉露日本一の産地、星野。その星野ならではの玉露を堪能できる「しずく茶」が味わえるのが、ここ「茶の文化館」です。 館内では、茶の歴史や製法を紹介する展示が見学できるほか、「抹茶挽き」「和菓子作り」「おいしいお茶の淹れ方」「闘茶」などの体験ができます。また、棚田の景色も美しい食事処では、お茶を使った甘味や食事が楽しめます。
星野川にかかる寄口橋(二連の石橋)と大楠近くの絶好のロケーションにあります。特産品直売所「茶採館」では、上陽茶のほか、お茶羊羹など茶加工品を販売しています。
はるか一面に広がる茶畑。ゆるやかな傾斜の丘陵地に広がるこの大茶園(約70ha)は、福岡を代表する八女茶の一大生産地です。 ここは、1969年から1973年にかけて「県営パイロット事業」として103haの山林を開発して作られた茶畑で、その雄大な景色は広く知られるところとなりました。 頂上には展望所が設けられ、晴れた日には有明海や島原半島を望むことができます。
しっとりした食感に甘い味わいのカステラ。抹茶の香りが加わり、一層贅沢な風味がします。お茶の産地にこだわったカステラが、販売されています。
抹茶を練りこんだ生地をカリっと揚げたかりんとう。抹茶のきれいな色となつかしい味わいが魅力のお菓子です。
いわゆる「黒棒」の抹茶バージョン。星野抹茶をふんだんに使い、色よく仕上げています。
八女市内の洋菓子店には、特に産地にこだわったロールケーキが並んでいます。美しいグリーンの発色もパティシエの腕の見せ所です。
いろいろな種類の茶飴が販売されています。甘さが強いもの、苦みの強いもの、香りを大切にしたもの…迷ったらお店の人に尋ねてみてください。
製造に手間ひまかかるバウムクーヘン界でも、八女茶が活躍。しっとりとした味わいと香り、色合い…すべてが楽しめます。
全国に知られる「八女茶」。古くから八女では、大切にお茶を育てて来ました。お茶は八女の暮らし、文化、歴史、伝統の中に深く根付いています。そのお茶文化が持つ健やかさ、日本的な情緒、もてなしの心に触れ、ゆっくりと過ごしませんか。
この「ようこそ 茶のくにへ」では、八女茶を知って頂き、八女茶の魅力を体感できる場所を紹介しています。「茶のくに八女・奥八女」を訪れ、もてなしの心に触れてみてください。